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Journal no. 36

多すぎる (2) (2002年4月19日)

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 今年も最大教室にまったく入りきらないほどの受講者が集中した。もはや驚きもしないが、そのことに対してなんら有効な対策を講じていない自分を恥じている。

 担当科目の受講者数が多いことを他の教員にグチると、もっと成績のつけ方を厳しくすればいい、と言われる。あんたが甘いのが悪いんだよ、というわけだ。

 私の講義でどれだけの割合が単位を取得しているかは、別のページで公開している(LINK)。その数字が高いか低いか、議論はあるだろう。しかし、受講者を減らすため(だけ)に基準を厳しくするという考え方は、どこかまちがっているように思えてならない。

 私は、できるだけ魅力的な講義をすることを最優先の課題にしている。そのために、講義タイトルも、講義計画も、考えぬいて書いている。できるだけたくさんの学生が来て話を聞いてくれるよう全力を傾けるのは、教師として当然の行為だ。

 すると、ジレンマが生まれる。いい授業をしてできるだけ大勢に来てもらおうと努力した結果、大勢集まりすぎていい授業ができなくなる。だが、だからといって数を減らすためにわざと授業の質を落としたり単位の基準を厳しくするのはまちがっている。

 受講者数をある程度までに抑え質の高い授業を維持するには、したがって教員個人による受講者減らしの努力ではなく、受講登録段階での人数制限による他はない。登録人数を制限することは、とくに必修授業については難しい技術的問題があるだろう。しかし、教育の質を一定以上に保つには、避けて通れないことである。どんなに大勢集まっても同じように授業ができるなどと考えるのは、大学側の自己欺瞞にすぎない。ましてや、教室に入りきらないと知りながらなお登録を許すのは、受講者に対する詐欺行為に等しい。技術的困難を理由に放置していい問題ではないはずだ。

 学生諸君も、自分の教育を受ける権利がないがしろにされていると思ったら、大学に対して怒りを表すことだ。

 

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