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Journal no. 35

多すぎる (2002年4月19日)

 教育工学という学問がある。工学というと、電気配線や機械を想像してしまうのだが、教育工学はそういうのではなくて、要するに効果的な教育がどうやったらできるかを実践的に研究するものらしい。

 『大学授業の技法』(赤堀侃司編 有斐閣 1997)という本を読んだら、多くの大学教員によるいろいろな教育技術の実践例が挙げられていた。著者たちの共通の主張ははっきりしている。『一方的にしゃべるだけの講義はだめだ』ということだ。

 これまで、もっぱら一方的にしゃべるだけの講義をしてきた私は反省して、授業改善を思い立った。毎回感想や短いレポートを書かせてそれにコメントをつけて返却するというのが、とりあえず初めの一歩としてはよさそうに思えた。

 二つの授業に導入しようとこころみた。しかし、授業が始まってみるとどちらも受講者数が300人を越えている。回収したものに目を通し成績表に記入するだけでも、次の授業までにできるかどうか(一方は週に2回あるし)。そのふたつの授業にだけ専念できるならともかく、他にも900人級の授業がある。せっかくの意気込みは、現実の前にもろくも萎えてしまった。

 こうしてみると、受講者人数が多いということが受講者に大きな不利益をもたらしていることがよくわかる。ザワザワしているとか発言しにくいというようなことばかりでなく、より良い教育法が実践される可能性を奪っている。教師のためだけではなく、むしろ受講者のために、受講者数は制限されなければならない。

 (この項続く)

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