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Journal no. 33

シンドラーズ・リスト (2002年3月19日)

トマス・キニーリー著『シンドラーズ・リスト』(新潮文庫 1982)を読んだ。

この気持ちをなんと表現したらいいのだろう。通勤電車の中で読んでいて、何度か涙があふれそうになって本を閉じなければならなかった。悲しみの涙もあったが、感動の涙の方が多かった。

悲惨ということでは並ぶもののないナチスドイツ下のユダヤ人虐殺のなかで、できすぎた映画さながらに人々を救ったオスカー・シンドラー。奇跡的な離れ業をひょうひょうとやってのけた英雄の物語に、ただ呆然とのみこまれてしまった。

たぶん私はあこがれているのだろう。あんなふうに、そしらぬ顔で明白な悪に抵抗することを。なんでもないことのような顔をしながら、敢然と悪に立ち向かうことを。そんな能力も度胸もないことは百も承知の上で。

スピルバーグ監督のアカデミー賞受賞作「シンドラーのリスト」の方は、ビデオに録画してあるのだが、陰欝な内容を予期して今まで手を出せずにいた。本を読んだ今、早く見たくてたまらない。あぁ、想像しただけで泣けてきた。

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