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Journal no. 30

フェアネス (2002年2月21日)

 やっと春休みになった。

 ここ3週間というもの、ずっと試験の採点をしていたのだ。のべ3000人分のレポートを読み、2500人分の論述式テストを採点した。いや、学期途中でやったレポートやテストを採点せずに放っておいた私が悪いのです。

 採点を終わり総合評価をだして事務に提出する段になると、いつも不安があたまをもたげる。なにかとんでもないまちがいをしてはいないだろうか、当然合格にすべき学生を落としてしまっていないだろうか、という、過失の恐れだ。なにしろあの人数だ。計算ミス、入力ミス、転写ミス。過失の入りこむ機会は無数にある。あれだけやってひとつもなければ金メダルものだ。

 アメリカの大学院在学中、生活費はティーチングアシスタント(TA)をして稼いだ。TAの仕事の一つがテストの採点だった。200人程度の生物学のクラスにTAが10人ついていて、点数の合計などは複数のTAがダブルチェックした。それでもミスはおこった。

 だからどうするか。答案は学生に返却され、解答と採点基準が張り出される。それをみて自分の採点結果がおかしいと思う学生は、書面で異議申し立てをし、言い分が通れば訂正される。この異議申し立てへの対処にはずいぶん気を遣わされた。

 ミスは起きる。どんなに気をつけても必ず起きる。できるだけミスをなくす努力はもちろんするが、その上で、起きた間違いを修正する仕組みがちゃんとシステムに組み込まれていた。それは大変に面倒な作業だったが、当然の処置だった。

 テストも返さず、解答も公表せず、採点結果を見直す機会をまったく与えない今のやりかたは、このままでいいはずがない。学生に対してフェアでない。それがわかっていながら充分なことができない自分がふがいない。

 発表された成績への異議申し立てや問い合わせは、遠慮せずにしよう。それは学生の当然の権利だ。

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