←前 | ジャーナルTOPへ |  次→

Journal no. 28

赤い怒り (2001年10月30日)

 壁に大きな穴を開けてしまった。

 おもいっきり殴ったら、あっけなく開いてしまった。言うことを全然きかない子どもにいらだって、やり場のない怒りをまぎらわせるつもりでコンクリート(だと思った)の柱に握りこぶしを叩きつけたら、実は石膏ボードでしかなかった壁はあっけなく壊れた。玄関を入ってすぐの壁に穴が開いていて、まことに具合が悪い。

 年のせいとは思いたくないが、どうも最近怒りっぽい。怒りの対象になるのは多くの場合見ず知らずの他人であって、身近な人に向くことはほとんどない。地下鉄で足を投げ出しているサラリーマンや、階段に座り込んでいる邪魔な学生、高速道路で後ろからあおってくる飛ばし屋なんかに怒りを燃やしている。

 そのくらい普通だというかもしれないが、私の怒りは度を越している気がするのだ。目の前が真っ赤になり心拍数がはね上がり、ひとしきり頭の中でその不届き者を叩きのめす空想にひたらないと収まらない。投げ出された足を思い切り踏み折ってやったり、飛ばし屋の車に自分の車をぶつけて側壁に叩きつけてやったり・・・。10通りくらいのやっつけ方を想像したころ、ようやくおさまってくる。

 空想しているだけなら害はない。しかし壁の穴事件のように実行してしまったら大変だ。実際、横断歩道を歩いて渡っていたとき、目の前に割り込んで横切ってきた右折車のフロントグラスにカバンを叩きつけたことがある。かなり大きな音がしたけど、ガラスは割れなかったし運転者は知らん顔で行ってしまった。しかし、一つ間違えばえらいことになっていた。トラブルを起こすか、それとも脳溢血で倒れるか、どっちにしてもあまりいい結果になるとは思えない。頭を冷やさないと。

◇     ◇     ◇

 ついに携帯を持つことにした。うれしくてあれこれ試している。残念ながらというか思った通り、かけるべき相手はほとんどいない。でも、楽しい。

←前 | ジャーナルTOPへ |  次→