Journal no. 25
景気回復かいかい? (2001年7月6日)
小泉サンが言う。構造改革で消費拡大、景気回復。街頭でマイクを向けられた人が言う。景気回復させてほしいわぁ。景気回復はみんなの悲願らしい。また昔のようにモノがばんばん売れるようになってほしいというわけだ。
私にはどうもよくわからないのだ。景気というやつは、だれかがちゃんとすれば必ずよくなるものなのだろうか。なにか失敗したから不景気なだけで、うまくやればまたもとにもどるのだろうか。ちゃんとやれば、いい景気が未来永劫続くのだろうか。
テレビでしゃべっているわけ知り顔のおじさんによれば、景気回復のかなめは消費拡大らしい。みんながもっとたくさんお金を使って、いるものいらないものをどんどん買ってくれればいいらしい。みんなでお金を使いましょうってんで、商品券を配ったこともあったよねぇ。たいして効果はなかったみたいだけど。
みんなお金がなくて、それに先行き不安だから、できるだけお金を使わないようにしているんだと政府は思っているみたいだけど、そうではなくて、みんな今の生活に満足して、もう何もいらないから何も新しいものを買わないのだとしたらどうなるのだろう。いや、今がそうだというつもりはない。けれども、いつかそうなったときはどうなるのだろう。もう欲しいものは全部買った、テレビも車も大事に使えば当分使える、壊れたものは自分で直す、衣服はフリマで見つける、会食は家庭でホームパーティ ・・・ ってなわけで、みな手持ちのもので満ち足りた生活を送り、必要最低限のものしか消費しないとしたら、はたして景気ってやつはどうなるのかね。やっぱりあんまりよくなさそうな気がするんだが、そんなときには「みんな満ち足りていてはいけない、もっともっと消費しろーっ」とかけ声をかけたり、満ち足りた気持ちに物欲を忍び込ませるようなサブリミナルCMを流したりするんだろうか。
みんながもしそうした満ち足りた生活をしたら、実は環境問題のかなりの部分は解決する。環境問題の多くは、つきつめれば廃棄物(=ゴミ)の問題であり、廃棄物はモノを消費するから出てくる。消費を控えれば、廃棄物が減り、問題も減る。だから、できるだけいらないものを買わず、買ったらできるだけ長く使って、使い終わったら他の人にまわして、どうにも使えなくなったら再生資源としてリサイクルする、というふうにみんなが生活を改めることが、環境問題解決のために必要だということになっている。でもそれで景気がうまくいかないんだとしたら、困ったねぇ。
だけど、景気をささえるために、まだ使えるものを捨てていらないものを買うような馬鹿なまねは絶対したくない。それより、これくらいが普通なんだと思ってそれなりに暮らしていったほうがいいんじゃないかと思うんだが、どうだろう。
◇ ◇ ◇
終わった終わった授業が終わったあとはのべ3500人分の採点をするだけだ。うげ。
このジャーナルの文責と著作権は巖圭介個人にあります。無断転載を禁じます。御意見、御批判は巖個人宛にお送りください。ここに書かれた内容に関して桃山学院大学は一切関知していません。