Journal no. 23
頭上注意 (2001年5月7日)
私の住んでいるマンションの裏手に竹林がある。マンションの敷地内なので、住民は自由に入ることができる。そこに竹の子がたくさん顔を出した。素手で適当に折り採って持って帰り、茹でてだしで煮てみたら、柔らかくて本当においしい竹の子だった。なくなったらまた採りにいった。すごくぜいたくな気分だ。
竹林の反対側にはけやき並木がある。湧き出るように新葉が広がり、あっというまに緑のトンネルができた。
この並木道に車を停めていてみょうなことに気がついた。雨が降ったわけでもないのに、フロントグラスに細かな水滴のようなものがついている。しかもこの水滴は少しねばねばしていて、ウォッシャー液を使わないと落ちない。
どうやらこの水滴は、けやきの新葉についたアブラムシのオシッコらしい。アブラムシは植物の葉や茎にくちばし(口吻)を突き刺して樹液を吸う。栄養分があまり濃くないのでたくさん吸って、不要な水分をおしりからどんどん捨てていく。この水分に糖分が入っているので粘つくわけだ。いったい何匹のアブラムシが上で食事をしているのだろう。新緑のジュースはさぞかしおいしいことだろう。
近くの公園には、見事な花を見せてくれた桜の木がすっかり葉を繁らせている。もういるだろうと思って幹を探したら、やっぱりいた。オビカレハというガの幼虫が行列をつくっている。注意してみると、足元にも毛虫が歩いている。まもなく大きく育った毛虫たちのフンで、あたりの地面が赤く染まるだろう。
春の野に芽生えた柔らかい緑をおいしいと感じるのは、人間だけではないらしい。頭の上で、虫たちのにぎやかな食事会が開かれている。口を開けて上を向いていると、パーティの残飯が落ちてくること請け合いです。
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GWには三田にワラビとセリを摘みに行ってきました。バーベキューをして、サワガニをとって、モンシロチョウを追いかけて、充実の一日でした。
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