Journal no. 14
読書の秋(2000年10月18日)
大学の広報誌「アンデレクロス」で、読書の秋特集ということで教員の推薦する本を紹介している。アンケートが来ていたのだがすっかり忘れていたので私の推薦書は出ていない。そこでちょっと、自分の中で印象深い本をリストアップしてみた。
千葉敦子「ニューウーマン」三笠書房
のちにガンで亡くなったジャーナリストが、自分の生き方をつづった本。学生のころに読んでけっこう衝撃を受けた。
内田百間「阿房列車」旺文社文庫
目的のない旅を楽しむ著者のおもしろおかしい紀行文。これを読んで私は一人旅をするようになった。阿川弘之の「南蛮阿房列車」もおもしろい。
スティーブン・J・グールド「パンダの親指」早川書房
第一線で活躍中の進化生物学者が縦横無尽に書くエッセイ集。進化学がおもしろくなることうけあい。
カール・セーガン「コンタクト」新潮文庫(?)
宇宙学者がリアルに描く異星人との接触。単なるSFではなく、人間とはなにか、科学と宗教は相容れないのか、といった問題に正面から取り組んでいる。ロバート・ゼメキス監督、ジョディ・フォスター主演の同名映画はこの原作とは少し力点の置き方がちがうが、こちらも秀作。
サラ・パレツキー 「サマータイムブルース」などV. I. ウォショスキーシリーズ、ハヤカワ文庫
パトリシア・コーンウェル 「検屍官」などケイ・スカーペッタシリーズ、講談社文庫
ウォーショスキーは探偵、スカーペッタは検屍官。いずれも犯罪と戦う女性のハードボイルド小説。痛快。
トム・クランシー「レッドオクトーバーを追え」などジャック・ライアンシリーズ、新潮文庫
スパイ、テロリスト、ハイテク戦。アメリカを取り巻く国際危機の中で国を救うべく活躍するライアン。アメリカ臭はきついが、緻密に練られたプロットは息もつかせない。「日米開戦」なんてのもある。
石田易司「さかさまの星座 ふれあいキャンプの仲間たち」オモドック
著者が本学社会福祉学科に赴任する以前、障害児キャンプの長をしていたころの出来事をつづったもの。さまざまな事件を通して成長していく学生ボランティアの姿に胸が熱くなる。
藤井旭「星になったチロ」ポプラブックス
天体写真家の著者と飼い犬のチロと星仲間たちの心温まる交流の話。天文少年だった私にとって、会ったことはなくともチロはアイドルだった。
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それにしても、他の教員が推薦している本は、どれひとつとして私の読んだことのないものばかりだった。堅い本や文芸書は読まない方で、漱石の「三四郎」すら読んでいない。上に挙げたものはどれも気楽に読めるものばかりだ。最近の学生は本を読まないと先生方はよく言うが、私のこの有り様を目にしたら絶句なさることだろう。今からでも読んだほうがいいのかなぁ、と思いながら、手がのびるのはやっぱり海外ミステリー。
◇ ◇ ◇
鈴鹿へF1日本GPを見に行って、フェラーリが21年ぶりに年間チャンピオンになるのを目撃した。とくにフェラーリを応援していたわけでもないけれど、くりひろげられてきた最高級のバトルを思い、感激した。
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