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Journal no. 12

携帯がパソコンを駆逐する(2000年9月27日)

 コンピュータ初心者向けの授業でアンケートをとってみて驚いた。大半の学生が携帯のメール機能を日常的に使っているという。パソコンの電子メールやインターネットを使ったことがなくても、携帯のメールは当然のように使っているらしい。驚くほうが遅れているのだとは思うが、そこまでいってるとは知らなかった。

 携帯の普及と、それにともなう技術革新はほんとうにめざましい。メールが使えるようになって、さらにi-modeやEZ-Webといったウェブによる情報配信も定着した。音楽配信やビデオ配信、テレビ電話もすぐに現実のものとなるだろう。GPSによるナビゲーションシステムなども普及するだろう。SF映画にでてくるような万能携帯デバイスも、もう夢ではない。

 携帯が備えるようになったこうした機能は、これまで家庭用パソコンが目指してきたものだ。電子メールとインターネットは、最近のパソコンの好調な売れ行きの原動力だった。しかし、パソコンの場合、机に座って、電源を入れて、数分待って、、、という手続きが必要だ。いつでも手元にあって瞬時に使える携帯と比べられたら勝ち目はない。

 メールやインターネットが魅力でなくなったとき、家庭用パソコンは生き残れるだろうか。ホームページのコンテンツによっては、携帯の小さな液晶では物足りないこともあるだろう。しかしこれも、インターネットに接続できるWebTVのような家電や、PS2をはじめとする次世代ゲーム機でカバーできる。デジカメやデジタルビデオの処理も、基本的なことは同様に家電ですることになろう。ソフト次第でいろんなことができるところがパソコンの魅力だ。その「いろんなこと」の中である程度成功したものが、より洗練され機能を特化した専用機器によって置き換えられていくのは当然のことなのかもしれない。結局パソコンは、年賀状の印刷ぐらいにしか使われなくなるんじゃないだろうか。

 もちろん、自分のホームページを作ったり、自分が撮ったビデオを編集するという人もいるだろう。でも、そういうクリエイティブな人の人口は、受動的に情報を消費するだけの人口に比べれば圧倒的に少ないのだ。そういう人だけがパソコンを使うことになれば、家庭用パソコン業界はこの先かなり厳しくなる。パソコンならではの新しい使い方を次々と開発し続けられるかどうか、そこが生き残りのカギだ。

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