【評価結果に対する巖の感想】
前期同時限と同じく900人超の受講者があった。500人しか入らない教室ではどうあがいても満足なサービスを提供できないので、授業内容を録音したテープを貸し出し、授業ノートをまとめたプリントを配布し、出席はもちろんとらず試験もそのプリントから読みとれる範囲のことのみを出題すると約束した上で、授業を直接聞く必要をあまり感じない受講者に自主的に退室をお願いしてなんとか事態を収拾した。
後期授業であり最初からそうなることがわかっていたので、今回は先にプリントを用意し、出席しなかった者だけでなく出席者にも授業の始めにプリントを配布し、そのプリントに書かれていることを元に授業を進めた。これは講義する側にとっては楽であった。板書をする必要がほとんどないので、話が中断されず量もしゃべれる。必要なときにだけキーワードやイラストを板書し、あとはOHPなどで映像を見せるようにした。
教えるのは楽であったが、はたして受講する側にとってはどうだったか。積極的にノートをとる必要がないことが学習態度に影響するのではないかということに気付いたのは、授業が終わってからであった。前年度の同授業との評価の比較をすればそのへんは明らかになる。前年度は、今年度と同じ教室で出席者数もほぼ同じ程度だったが、プリントなしですべて板書による授業だった。
結果は恐れたとおりのものだった。質問2「興味」、3「理解」、12「有益」、13「学び」すべての項目で今年度の方がスコアが低い。当然といえば当然の結果である。プリントに書かれてあることさえ理解していればいい、それはあとでいつでもできる、という緊張感のなさが、講義への集中をそこなったのであろう。とはいえ、出席しないことを多くの受講者にお願いした以上、そのプリントに書かれていないことを講義で多くしゃべることは許されない。
おそらく前期のように、プリントは授業の後で配布するようにすべきだったのかも知れない。受講者側の立場から見れば、それもいささか理不尽なことのようにも思えるが。
とにかく、教室にまったく入りきらないほどの受講者を受け入れたことに問題がある。そこを解決しない限り、いくら小手先の策を弄しても十分な教育など実現できるはずもない。講義の内容には例年以上の自信があったのだが、残念だ。