和歌山大学が、キャンパス全面禁煙を打ち出した。学生も教職員も全員、教員の個室でも許されない。
これは当然といえばあまりに当然のことではある。タバコなどもともと吸うべきものではないし、学生の半数はそもそも吸える年齢ではない。悪癖を覚えさせるべきではない教育の場で、教員が平気な顔して吸っているべきではない。
反煙家(嫌煙という表現は受動的なのであまり好きではない)の私としては諸手をあげて和歌山大に続きたいところだが、このごろ少し自分のスタンスがぐらついている。それ以外では尊敬できる同僚の多くが、悲しいことに喫煙者であるという現実に、態度を決めかねている。
喫煙は悪癖であり、公共の場での喫煙は100%間違っている。反煙運動は正しい。しかし、ヒトは正しいことだけして生きているわけではない。やましさをかかえた喫煙者を「正しさ」で押しまくるのは、暴力的である。「正義」の押しつけといえば、まるでアメリカのようではないか。
とはいえ、まだ無垢な学生が悪の道に染まるのを、放置し、あるいは手を貸すなどということは、教育機関として許されまい。悩む。
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ところで和歌山大の件だが、全面禁煙を全構成員に押しつけるなら、禁煙に取り組む者に対しリハビリのためのプログラムを用意するのが筋だと思うのだが、どうだろう。ヘビースモーカーは、治療を要する中毒患者である。