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ソーラークッキング

ソーラークッキング って知っていますか?

太陽熱調理、つまり太陽の熱を使って料理をしようということです。

たしかに、夏の暑い日中には車のボンネットで目玉焼きができそうだけど?

ということで、インターネットを検索してみると、あるある、いろんな人がいろんなタイプの
ソーラークッカーを考案しています。

でも、まだ半信半疑。ほんとに料理なんてできるのか?

そこで、自分でやってみました。百聞は一見に如かず! 以下はその実験のレポートです。

 

実験装置1号:ビニールパラボラ (コードネーム:サンブレラ1号

【製作】ビニール傘の内側にアルミ箔を貼れば立派な集光装置になるだろう、と単純に考えて作ってみました。アルミホイルを貼ればいいのだけど、ちょっと手間を省くためにDIYの店で薄手のアルミテープを買ってきました。これならのりを付ける手間がかからない。傘の内側にテープを貼る作業は1時間ほどで終わりました。

(注意)あとで補修のため部分的にセメダインを塗ってアルミ箔を貼りましたが、どうもビニール傘のビニールは接着剤の有機溶媒に溶けてしまうみたいです。柔らかくなってでこぼこになりました。広い面積に使うときは、接着剤とビニールの相性を調べておいた方が無難です。

アルミテープsunbrella1sunbrella2

【実験】よく晴れた3月のはじめ、傘を庭先に広げ、柄の途中に海苔の空き缶をテープでとりつけ中に水を入れました。取り付けた位置は、傘の持ち手から三分の一ほど上(先)の部分。反射させてみるとこの辺がどうも一番明るいような気がしたから。缶の中の水がどれだけ急速に暖まるかを調べようというわけです。

【結果】結論からいうと実験は失敗。ひとつは、缶を固定したビニールテープの粘着材が加熱されて柔らかくなって、缶がずり落ちてしまうこと。水の温度は、実験開始時の朝9時半の13度から11時には25度まで上昇しましたが、このくらいは集光装置なしでも上がりそうな感じ。缶を黒く塗っていなかったのも敗因の一つかと思いました。また、後で計算してみたところ、光の集まる焦点はもっと傘の先の、骨の集まっているあたりに来るようでした。焦点部分にどうやって調理の対象になるものを置くか、というのも実用上重要な問題になりそうです。

 

実験装置2号:段ボール縦型 (コードネーム:ザ・グレートウォール

【製作】サンブレラ1号の失敗を反省し、今度は原理から書き起こししっかり設計してみました。光を集めるには放物面が必要。放物面の断面は放物線、つまり二次関数で表せる。その二次関数が決まれば、光の集まる焦点の位置も明らかになる。ということで、エクセルを使って二次関数のグラフを描かせて、作りやすい寸法を検討。そして採用したのが以下のようなものでした。(参考サイト:鳥居ヤス子さんのHP

 

放物線グラフ

こんな放物線を使うことにした。
幅50センチ、奥行き25センチ。

光が集まる図

この場合、焦点は奥から6.25cmのところに。

設計図

あとはこの放物線にそった形の反射面を段ボールにアルミ箔を貼ってつくるだけ。厳密に放物面になんてできっこないので、一所懸命計算したわりにあとはいいかげんです。

底面になる段ボールに放物線を描いて、それにだいたい沿うように壁面を作ります。中央の部分だけのり付けして、両端は底面から切り起こした部分に洗濯ばさみではさんで固定します。こうすれば使わないときにはぺしゃんこに畳んで収納できます。

サイズは手に入った段ボールにあわせればいいと思います。

加熱容器

集光部に、スプレーペイントで黒く塗ったノリの缶をおく。保温のため2リットルのペットボトルの上部を切り取ったものをかぶせる。

いも投入

缶の中にサツマイモを入れて・・・

加熱中

太陽の方を向けて待つこと
3時間・・・

おいものできあがり!

ホクホクの焼き(?)イモできあがりー!

ザ・グレートウォールの勇姿

おいもの質(たち)によっては2時間もしないうちに火が通ることもあります。なんか、すんごくおいしいのだ。

たぶんこれは、ほんとの「石焼き芋」に近い状態なのだと思う。熱せられた缶の内側から出る遠赤外線で調理している。だから蒸し芋とは違う。

ためしに水を少し入れて「蒸し」状態でやってみたら全然ダメだった。これはまだ追試が必要だが。

おいもが焼けるようになったのはいいけど、
1回に1本しか焼けないし、
おいもばっかり食べてるわけにもいかないし。

次の挑戦は、
もっと集光力を高めて
お湯を沸かせるぐらいにしたい。
反射材としては不要のCD−ROMを使う。
名付けて「ソーラ・レイ」!
乞う、ご期待!


2002. 10. 16. 追記

小型の温度記録計が手に入ったので
実際に缶の内部がどのくらいの温度になっているのか測ってみた。
10月のよく晴れたある日、
午前10時ごろから3時間ほど、
サツマイモ一本とともに温度計を缶に入れた。

さて結果はと取り出してみると、
温度記録計は見るも無残に溶け落ちていた。
溶けたプラスチックをはぎ取り端子をつなげると
幸いデータは残っていた。

データによると、
開始30分で摂氏85度を超えて、
終了まで85度を下回ることはなかった。
85度以上は計測不能なので
最高何度まで上がったのか定かではない。
溶けた温度計だけがそのパワーを物語っている。

 → 

本来の温度計の姿(左)と溶けた後の表と裏。くるんでいた布が融着しており、裏の右上が焦げている。
端子の接続部はナイフで削って掘りだした。


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2002. 3. 22.
2002. 10. 16追記
2003. 2. 20新装