1. 以下の文章の[ ]内に入るべき単語や数字を、右側にある該当の回答欄に記入せよ。ただし、*がついている場合は選択肢から選んで回答欄に記入せよ。(各5点, 計100点)
回答欄省略
DNAは、糖とリン酸と[(A) 4]種類の[(B) 塩基]からなる高分子であり、この[B]の並びが遺伝情報を構成する。[B]は[(C) 3]つ並んでひとつの単位(コドン)を構成し、これが[(D) アミノ酸]に対応する暗号となっている。DNAの情報に基づいて20種ある[D]が長くつなげられていくことで[(E) タンパク質]ができる。こうして作られる[E]が私たちの体を形作るのである。
現在の植物が細胞内に持つ葉緑体は、もともと独立した単細胞生物[(F*): ミトコンドリア シアノバクテリア ニッポニア カンブリア ヴォルバキア]が他の単細胞生物の内部に共生したものと考えられている。
進化を起こす力には2つある。ひとつは[(G) 自然選択]で、環境に対する[(H) 適応]をもたらす。もうひとつは[I*: 電気的移動 浮動的遺伝 遺伝的浮動 遊動的遺伝 偶然的浮遊]で、これは偶然による変化を意味する。[G]によってある形質が進化するための3条件とは、形質にばらつきがあり、形質が[(J) 遺伝]し、形質と[(K) 適応度]の間に相関があることである。
血縁選択とは、ある遺伝子が[(L) 血縁]個体の適応度の増加を介して選択される機構である。[L]個体とは、自分と同じ遺伝子を祖先から受けついでいる個体のことで、自分と同じ遺伝子を相手個体が共有している確率を[(M) 血縁度]という。人間の場合、親子の[M]は[(N) 1/2]、兄弟姉妹間は[(O) 1/2]である。
生物学でいう社会性とは、同種のいろいろな個体が[(P) 分業]して集団を構成することをいい、とくに[(Q) 不妊]の階級が存在する場合を真社会性という。
里山は、主に[R*: 常緑 針葉 紅葉 落葉 菩提]樹からなる二次林で、農村の近くで人々が薪などを得るために利用してきた森である。現在の日本では絶滅危惧生物の約半数が里山に生息する。自然の植生は、西日本では放置すれば[(S) 植生遷移]によっていずれすべてカシやシイなどの陰樹林になってしまうが、人の手が入った里山は、撹乱された場所を好み、陰樹の森には棲めない生物たちの[T*: フリージア ピカイア レフュージア ニューギニア リレーション]になっていたのである。
2.上記問1のFが大量発生して光合成で酸素を作り出したことで、地球環境はそれまで繁栄していた生物とその後繁栄することになる生物たちにとって大きく変化した。生物にとって重要なその変化とその影響を2つ説明せよ。(10点)
[回答例]大気中の酸素濃度が上昇したことで嫌気呼吸をする生物が激減し酸素呼吸する生物が大半を占めるようになった。また大気中の酸素の増加はオゾン層の形成につながり、紫外線が減少して陸上への生物の進出を可能にした。
3. 外来種問題に関する予防3原則を記せ。(5点)
入れない、捨てない、拡げない
4. 危機に瀕する生物が直面する「絶滅の渦」とはどういう状況のことか、説明せよ。(10点)
[回答例]生物の集団の個体数がある程度少なくなると、近親交配による近交弱勢、人口学的変動、環境変動の3つの負の影響を受けやすくなり、さらに減少が加速してしまい、復活することが困難になることをいう。
5. 有性生殖の進化に関する「赤の女王仮説」を簡単に説明せよ。(10点)
[回答例]すべての生物は、細菌やウイルスなどに代表される寄生性の生物に常に脅かされている。こうした寄生性の生物は世代が短く進化が速いため、寄主の防御を打ち破る適応を素早く獲得する。そのため寄主は毎世代のように変わり続けなければ寄生性生物から逃れられない。異なる個体と遺伝子を混ぜ合わせて親と異なる子を生産する有性生殖は、毎世代変化することで寄生性生物から逃れるために進化したと考えるのが「赤の女王仮説」である。
6. もともと一度に3個卵を産んでいた鳥が、一度に2個しか産まなくなる、といったような少産化への進化というのは、子孫を残すという点で一見直感に反するが、どのようにして起きるのだろうか。問1のGによる進化と仮定して、進化の理由を推測し、実際に何を調べれば検証できるか説明せよ。(15点)
[回答例]3個産んでもエサ条件などで3羽とも育てられず、少なく産んで丁寧に育てた方が結果的により多くの子を残せる場合に、自然選択によって少卵化への進化が起きると考えられる。3個産んだ場合と2個産んだ場合の子の生存率の差を調べることが重要(適応度と形質の相関)。加えて、3個産む個体と2個産む個体がいて(形質のばらつき)、その性質が遺伝する(形質の遺伝)ということが示せると、三条件が揃う。
[コメント]実際には、3個産む傾向にある親鳥と、2個産む傾向にある親鳥、それぞれ生涯を通して育て上げられた子の数を比較する必要があるのだけど、この試験ではそこまでの回答は求めない。
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