F1Formula One World Championship

FIA(国際自動車連盟)が主催する自動車レースの最高峰であるF1は、車に関する最先端の技術が集結しているだけではなく、ドライバーは勿論のことチームオーナー、マシーンデザイナー、メカニックなど関係者の勝利への情熱に加えて資金力、政治的な駆け引き、その全てが凝縮された世界で、熾烈な戦いを繰り広げる反面、華やかなヨーロッパの文化を漂わせているモータースポーツです。

『初めてのF1体感!』

テレビでしか観たことがなかったF1マシーンが、目の前を走り抜けて行く衝撃は、生涯忘れることの出来ない記憶のひとつです。

マシーンのボディは、鮮烈な色に包まれ、そのフォルムはセクシーなほどに魅力的!時速300kmで目の前を駆け抜ける車のエンジン音は、空気を振動させ自分の体を震わせる・・・・想像を超えた体験とレースの緊迫感に包まれ、全ての細胞が目覚めていくような感覚でした。

この年初めて、花粉症のような症状が出始めていましたが、3日間通い詰めたF1観戦後には治まり、その後も発症していません。一時的な何かのアレルギーだったのか?不明ですが、アレルギー反応は、ストレスなど目に見えないものがかかわっていることも事実ですから、心からの感動体験が治療になっても不思議ではありません。

私がF1に興味を持ったのは、アイルトン・セナという一人のドライバーに魅了された事がきっかけです。セナは、1994年レース中の事故で他界しましたが、イギリスのF1 Racing誌で「史上最高のF1ドライバートップ100ランキング」(20086月号)、「史上最速のF1ドライバー」(20072月号)の選出で、どちらも一位に選ばれています。15年近く経った今も、世界中の人々に褪めない感動と記憶を残した理由のひとつは、F1ドライバーとして私たちの期待を裏切らなかった。それは、ただ表彰台を独占しているという結果だけではなく、マシーンのポテンシャルが明らかに劣っている、または状況から見て不利だと思うようなレース環境でも、諦めず結果を出す。常に自分の可能性を高めようとひたむきに取り組む姿勢が観ている者の心を掴んだからだと思います。セナが生前に語っていた印象深い言葉があります。「・・・未来のことを考えるのも大事だが、同時に一日一日を精いっぱい生きていくことがそれ以上に大切だと思うんだ。明日何がおきるかわからないのだから、とにかく自分に与えられた場で、自分にできることを一生懸命やり抜いて生きていくのが一番だ。がんばった結果、うまく行く時もあれば、そうでない時もある。間違いを犯すこともあるだろう。理想を語ることは簡単だが、自から実践するのはすごく難しいことだからね。しかし、だからこそ少なくとも自分自身に対しては誠実に、そして自分の描いた夢に向かって、精いっぱい生きて行くことが何より大切だと僕は思う。」(著者:桜井淑敏「覇者は何処へ」より抜粋)

F1ドライバーとして挑戦し続け、ひたむきに生きたセナの姿から多くのことを教わりました。

落ち込んで駄目かも・・と挫けそうに、投げ出しそうになった時、一歩前に踏み出す勇気を!出来ないという不安を・・出来るという期待感に変えてくれる。そんな人と出逢えたことは幸せに思います。

心から感動する体験を積み、魅力ある人と出会うことは、自身の心を豊かにし、より広い視野で物事を見られるようになっていくと実感しています。

大学生としての4年間は、おそらく人生最後の学生生活です。大学生として自由な生活を満喫するだけではなく、社会に出て自分は何をやりたいのか、何が向いているのか、自分の夢を見つけてエネルギーを蓄えるべく努力し、色んな体験を積んでいくことを期待します。

自動車部の皆さんが、将来自分が成りたいと思う未来の自分を手に入れるため、微力ながら力になれるように一緒に頑張って行きたいと思っています。

2009年8月 

自動車部 部長 今井 敏子